Cyg art gallery | 東北の作家に焦点を当てた企画展ギャラリー

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移し/移り−熊景をたどる−

移し/移り−熊景をたどる−

2022.2.26-3.16

概要


岩手県葛巻町でかつて作られていた木彫熊と、美術家・是恒さくら、画家・増子博子との出会いを発端に、木彫熊がつなぐ不思議な縁で出会った東北と北海道の作家6人の作家の作品を紹介します。

〈参加作家〉上遠野敏/是恒さくら/中村絵美/藤沢レオ/増子博子/山里稔

展覧会に寄せて


2020年以降私たちは、人やものの移動について個としての無自覚な移動から、うつしあう「類い」であることに意識的になりました。動くことで何かを移し替えてしまう、そして自らもうつり変わっていく。これは私たちが長い歴史の中で繰り返し行なってきたことでもあります。
この展覧会の出発点は、美術家・是恒さくら、画家・増子博子と葛巻町で作られていた木彫り熊との出会いでした。1965年から何度か北海道旅行ブームが起こり、それに付随して土産物の木彫り熊ブームが巻き起りました。その木彫り熊ブームは、岩手県の葛巻町に住んでいた上高山兼太郎[1926-1988]に影響を与え、木彫り熊を彫らせることになります。そのかたちは、北海道土産の写しから、上高山の住む環境、彼自身の映しへと変容していきました。
本展では、かつて北海道で作られた木彫り熊が岩手県でも作られ、葛巻という土地のかたちに変化した不思議な脈を遡るように、木彫り熊をきっかけに出会い語らいはじめた東北・北海道両地の6名の表現者を紹介します。増子と是恒、そして二人が知り合った北海道の美術家・上遠野敏、美術家・中村絵美、金属工芸家/彫刻家・藤沢レオ、造形作家・山里稔、です。この6名はそれぞれ表現活動を行いながら、ある時、木彫り熊に興味を持ち始め、コレクションやリサーチを行なってきました。その関心は「熊」という生き物とそのイメージの変遷、木を扱う仕事・産業の在り方、森林の生態、東北から北海道への移住の歴史など、様々に展開しています。
ひとつの小石が、水面に大きな波紋を描くように広がってきた6名の旅と表現がここに集います。

移し/移り−熊景をたどる−

会場

Cyg art gallery
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)

日時

2022年2月26日(土)ー2022年3月16日(水)
10:00–19:00

入場

無料

参加作家

(50音順)

上遠野 敏/KATONO Satoshi

《炭鉱マンとクマ》2017
美術家。札幌市立大学名誉教授。炭鉱の記憶アートプロジェクトや札幌国際芸術祭2017の企画に携わり、北海道の三至宝の一つとして山里稔コレクションの「木彫り熊」を展示。主な活動に札幌駅南口モニュメントの監修・デザイン・制作、札幌市生涯学習総合センターの作品設置及び館内アートディレクション、主な展覧会に2014年「札幌国際芸術祭2014」(北海道)、2014年「Distant Observations Fukushima in Berlin」クンストラウム・クロイツベルク/ベタニエン(ドイツ)などがある。

是恒さくら/KORETSUNE Sakura

《空想玩具「みっとえきどのけん玉》2015
《Puzzled Identity》2008
広島県生まれ。2010年アラスカ大学フェアバンクス校卒業。アラスカでは先住民芸術、彫刻、絵画を学んだ。2015年に山形県に移住、2017年東北芸術工科大学大学院修士課程修了。2018~21年東北大学東北アジア研究センター学術研究員。2021年秋より北海道苫小牧市在住。国内外各地の捕鯨、漁労、海の民俗文化を尋ね、リトルプレスや刺繍、造形作品として発表する。リトルプレス『ありふれたくじら』主宰。

中村絵美/NAKAMURA Emi

《植物のモニュメンタリティ》2020
映像作品《神解けの火》2022 より
美術家。1988年北海道生まれ。長万部町出身・在住。近年ネイチャーガイドの手法を地域史理解と組み合わせた独自の景観観察を繰り返し、類比的思考によって作品イメージを組み立てている。「明倫AIR」(鳥取)2010年度・2017年度招聘作家。2020-21年「札幌国際芸術祭2020」(北海道)にキュレトリアルアドバイザーとして、2016-17年観光滞留施設「ギャラリーミグラード」(北海道)にディレクターとして携わる。北海道開拓写真研究協議会代表。

藤沢レオ/FUJISAWA Leo

《模刻のモニュメント》2021
《f柱の研究 -起源》2021
撮影:Seiji Yamagishi
彫刻家。1974年北海道生まれ。鉄や木、繊維などを素材に、工芸、彫刻、インスタレーション、舞台美術等ジャンルを横断しつつ、自身の死生観を基に制作する。近年は人類の足跡を辿る生存の起源や場の発生について思索する。主な個展に、2020年「きのうと違う島」洞爺湖芸術館(北海道)、2021年「ある一日」レイジンシャギャラリー(東京)、2021年「Sculpture of Place 柱の研究」モエレ沼公園(北海道)等がある。

増子博子/MASUKO Hiroko

《径庭no.1》2019
《移ろう風景 皆川マスの絵付けより》2020
撮影:吉田健太郎
1982年宮城県生まれ。宮城教育大学大学院 教育学研究科教科教育専攻美術教育専修修了。2006年から盆栽を人と自然の関わりの象徴として捉え、ペン画で描き直す試みを続けている。2011年からは、住む場所の移動によって出会ったものや人との関わりから生まれるものを探りつつ、様々な技法で作品制作・発表を行う。最近の個展に、2020年「松のことは松に習え」Gallery MoMo(東京)、2020年「よくよく、沃野」Cyg art gallery(岩手)など。
葛巻町に引っ越してからは、葛巻生まれの木彫り熊の調査を行っている。1991年岩手県生まれ。埼玉在住。2016年東北芸術工科大学大学院洋画領域修了。

山里稔/YAMASATO Minoru

《静かなる空間シリーズ 地球の人02》2005
《静かなる空間シリーズ 森の記憶05》2008
造形作家。1944年北海道室蘭市生まれ。2009年「グループ展 遠くを聞く」コンチネンタルギャラリー(北海道)、2014年「グループ展 HOTEL MOONSHINE ~月光密造者の為に~」ギャラリー 犬養(北海道)、「個展 静かなる空間シリーズ」など多数の展覧会に出品。近年衰退の危機にあった木彫り熊を収集・研究し、2014年に「北海道 木彫り熊の考察」〈かりん舎〉、2021年「熊から造形へ 木彫り熊 未知なるコトで独り言」〈熊学舎〉を出版。

イベント

※イベントについて、新型コロナウイルス感染状況をふまえ変更しております。フライヤーとは日時・内容が異なります。

<オープニングトーク −熊景をたどる

日時公開中
場所・参加方法収録動画をYoutubeで配信しております
移し移りー熊景をたどるー オープニングトーク

<ワークショップキット −木皿に移す

ワークショップは終了しましたが、
店頭、オンラインショップで参加用キットを販売中です。購入者向けにワークショップ当日のレクチャー動画を限定公開しておりますので、そちらも参考にしながら、自分の思う景色を木皿に移しとってみてください。

価格3,500円
キット内容木皿用材(材・栗、L10cm × W15cm x H1.3cm ※角を落として皿状に加工しています)1点、作業台1点、テキスト1部、仕上げ用蜜蝋、ウエス
講師是恒さくら、増子博子
※彫刻刀は各自でご用意ください。彫刻刀を使用したことのある中学生以上の方対象のワークショップです。

オンラインショップ

Cygオンラインショップではこの展覧会の展示作品、関連グッズなど販売中です。

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