草彅裕
無数の一滴
2023.4.1−4.26
概要
秋田県出身・在住の写真家・草彅裕の個展を開催します。
草彅は秋田県の雪、水、太陽といった自然物を主な被写体とし、時に色鮮やかに、時にモノクロで、肉眼で捉えきれない一瞬の表情を写真で切り取る試みを続けています。一方、ピンホールカメラと自作の印画紙を用いて展覧会の長期的な記録撮影を行ったり撮影した写真を学習机や灯籠を用いて展示するなど、写真の多様な見せ方にも挑戦しています。
今回の写真展「無数の一滴」は、2020年3月にCyg art galleryにて企画された個展「水の粒子」に続き、水の「瞬間と循環」を主題とした作品群で構成されます。
2020年と2022年に開催された「山形ビエンナーレ」出品作である《水の地殻》は、かつて山形に存在していたとされる湖「藻が湖(もがうみ)」の伝説を題材として、湖があったとされる場所をGoogle Earthで検索し、得た画像を暗室作業等によって解体、変容させた写真です。
また、山形県にある肘折温泉にて毎年夏に開催される「ひじおりの灯」にて2017年の新作灯篭として出品した《水の大地》や、秋田県の汽水域海岸で波の一滴にフォーカスした《SEA》、移ろう砂と水の光景を捉えた《PEBBLES》など、その他にも多数のシリーズを展示いたします。
会場では2022年12月に刊行されたばかりの写真集『水を伝う 玉川毒水』(クレヴィス出版)も販売いたします。
秋田を中心に東北に根差した旺盛な制作活動を展開してきた草彅の、近年の作品をご覧いただける機会となります。ぜひご高覧ください。
展覧会に寄せて・草彅裕の言葉
地球生命の根源である水は、無色透明で形が定まらず水滴や雪、川や海など多彩に変化します。水の写真でしか捉えることのできない瞬間を追い続け、気がつけば長い月日が流れました。私が水に興味を持ったきっかけは、写真を撮り始める以前、幼少期に見た自然の光景や水遊びなどの体験が原点となるように思えます。撮影は常に特別な時間であり、自然の中に身を委ねファインダーを覗くとき、移ろう情報や心情から切り離され、目に映る世界に没入するような実感があります。一方で、私たちの日常はインターネットの巨大な流れが、現実世界を飲み込むように広がり続けています。あらゆる事物が情報として急速に拡散、拡張される現代に生きるからこそ、自身のルーツとなる自然を、時間をかけて見つめ直したい。瞬間と循環が交わる無数の一滴が集い、新たな視座になることを願っております。
草彅裕
無数の一滴
会場
Cyg art gallery
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)
会期
2023年4月1日(土)─4月26日(水)
10:00-19:00
※4月18日(火)は休業
入場
無料
作家プロフィール
草彅裕/KUSANAGI Yu
秋田県仙北市出身。
東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科デザイン工学専攻修了。
秋田公立美術大学コミュニケーションデザイン専攻助教。
大学在学中に写真家・民俗学者の内藤正敏と出会い本格的に写真を始める。
秋田で撮影した雪夜のシリーズ「SNOW」で写真新世紀 佳作賞(蜷川実花選)を受賞。KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の公式プログラム「ネイチャー・イン・トーキョー」にフランスの新聞社「ル・モンド」より選出される。「キャノンSHINES」受賞(梶川 由紀選)。著書に『SNOW』『PEBBLES』『水を伝う 玉川毒水』がある。
現在では生まれ育った秋田県内の自然や風土を、写真でしか捉えることのできない不可視の「瞬間と循環」をテーマとして撮影。秋田を拠点に国内外で多数の個展、グループ展において発表を続けている。
ウェブサイト
出品予定作品
- お客様へのお願い
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- 体調に変化を感じられている方はご来場をお控えいただくようお願いいたします。
- ご来場の際は、マスクの着用・手指の消毒または手洗いのご協力をお願いいたします。
- お客様同士の間隔が1m以上となるよう、距離を保ってご鑑賞いただくようお願いいたします。
- ギャラリー内における感染予防対策
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手指消毒液の設置、全スタッフのマスク着用 、店内の定期的な換気・消毒、入場制限(会場内の人数が一定数を超える場合)