Cyg art gallery | 東北の作家に焦点を当てた企画展ギャラリー

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霧の歯

小林知世

霧の歯

2025.3.29ー4.20

概要


画家・小林知世の個展を開催いたします。小林は、風景・日用品・食べ物などを油彩やステイニングの技法で描いています。作品からは、日常のなかで絶えず生まれ埋もれていく微細な変化やゆらぎへの深い関心がうかがえます。
小林は本展に際し、祖母が描いた絵を模写したり、同じ空間で描いたりしながら制作を進めました。そのなかで、祖母がみている世界のかたちの一端に触れられるように感じる瞬間があったといいます。小林はそういったさまざまな事象と交信しながら、微かに感じ取ったものを捉え、絵として記していきました。ぜひそのかたちをご覧ください。

展覧会に寄せて・小林知世の言葉


ひとつの絵についての制作ノート

この絵は、祖母がデイサービスで描いてきた果物や花などの静物画を1ヶ月ほどかけて模写して作った。
対になる香水を使った画用紙の作品は、その制作のときの体験と感覚から作った。

祖母は元々絵を描くことやものを作ることが好きで、私は子どもの頃たくさん一緒に遊んでもらった。
認知症になってから、記憶や時間や空間の捉え方が変わっているように思える彼女と
一緒に過ごして 話して、絵を描いたり 描かれた絵をなぞったり眺めたりする。
続けていると、彼女がみている世界のかたちの一端に触れられるように感じる瞬間がある。

引いている途中で何を描いていたか見失ってよろめいた線、
むかし祖母が描いていた絵にあった、手癖はそのままある。
話しながら 子どもになる、祖母でなかった頃の彼女になる

忙しくして 自分がみている世界の 普通 を押し付けて
彼女に起こっていることや感情の機微を無視していたと思う。
このことに限らず どれ程たくさんのことをそうして無視してきただろう

模写をはじめて1ヶ月ほど経ったある夜、
いつものように制作場に向かって歩いている途中で つよい花の香りが漂ってきて、
みると道の傍に大きな百合の花が咲いていた。
絵の続きに着手して、模写している祖母の絵の中に出てくる 何かわからなかった線が百合であることに初めて気がついた。

何度も繰り返し描く中で、線や色は変換され続けて、次第に彼女と私の線が混ざって違うかたちがあらわれる。
なにかがあらわれたり、消えたりを繰り返す。

これは言葉で語ることのできるひとつのエピソードだけど、
絵を描いているとき、いろんなかたちの そうした無数の明滅のようなものがやってくる

小林知世

霧の歯

会場

Cyg art gallery
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)

日時

2025年3月29日(土)─4月20日(日)
11:00-18:00

[水曜日・木曜日 定休]

※4月15日(火)は休業いたします。

※営業時間・休業日の最新情報は Cyg art gallery ウェブサイト・SNSにてご確認ください。

作家在廊日

3月29日(土) 終日

※休憩などで不在の場合もございます。

入場料

無料

作家プロフィール

小林知世|KOBAYASHI Cisei

東北芸術工科大学洋画コース卒業。札幌在住。油彩やステイニングの技法で風景・日用品・食べ物などを白やグレーを基調とした淡い色彩で描き、環境音を判読不能の文字のようなドローイングで表現する。目に止まることのない光景や音のもつ気配や震えを捉える制作に取り組む。

主な活動に2025年「マイ・ホーム(仮)」札幌芸術の森美術館(北海道)、2024年 個展「nolon」YUKI-SIS(東京)、2023年「VOCA展」上野の森美術館(東京)、2023年 個展「epiphany」CAI03(札幌)、2021年 個展「doughnut」galleryTURNAROUND(宮城)、2018年 アーティストインレジデンス「End Of Summer2018」(アメリカ オレゴン州 ポートランド)など。

作家公式サイト

参考作品

《untitled》2025年
《untitled》2024年
《untitled》2025年
《untitled》2025年
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