Cyg art gallery | 東北の作家に焦点を当てた企画展ギャラリー

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余りの風景

菊池聡太朗

余りの風景

2025.4.26ー5.25

概要


岩手県出身のアーティスト・菊池聡太朗の北東北初個展を開催いたします。学生時代に都市・建築学を専攻しながら絵画制作をはじめた菊池は、主に風景を主題としたドローイングやインスタレーション作品を発表してきました。
本展では、これまで描いてきた空き地や荒れ地の風景を、過去の記憶をとどめながら余白を生んでいる「割り切れずに余ったような場所」だという視点に基づき、東北の土地を描いた近作のほか、盛岡の風景を取材し制作した新作を展示いたします。

展覧会に寄せての・菊池聡太朗の言葉


私たちの周りの環境を見渡すと、空き地とか荒れ地と呼ばれるような、誰のものなのか、何の用途なのかわからない場所や、かつて関わりがあったであろう人やものの痕が残っている自然が存在していることに気づく。それらの領域は、一般的に利用価値があるとされるカテゴリーからは余ってしまったようにも見えるけれど、だからこそ感じる余白のようなものに惹かれている。

そうした風景を描いていると、当たり前だけれど、季節がめぐるにつれ場所の眺めは変化していく。今描いている、斜面を覆いつくし葉が枯れきった冬の葛の群生も、夏には緑に茂り、その変化全てを描きつくすことはできない。しかし冬はまためぐってきて、前の年と同じように枯れた葛の姿に再び出会う。その季節の繰り返しを通して、大きな時間の振れ幅の中で、日々の生活や描くという行為が進行していることを確かめられるように感じる。一方繰り返しの中にあるように見えたその場所も、近い未来には更地になったり、建物が建てられたりするのかもしれない。

同時に、今見えている風景は、過去に起きた出来事のなんらかの残余でもある。仙台の沿岸部の砂浜に、14年前の津波をかぶり立ち枯れている松の木々が生えているところがある。倒れてしまった木も増えたが、未だに立っているものもある。根元の方は、虫に喰われたのか分解されたのか、小さな穴だらけのスカスカの状態になっていき、最後には風化し折れて倒れる。そうした喰い残しのような部分の集積が、今見ている風景を構成しているようにも思う。

これまでに出会ってきた、点在する場所の断片を並べてみる。
その風景の連なりが交流しあい、異なる場所や、様々な幅を持った時間への想像をめぐらせる余白をつくっていったらと思う。

菊池聡太朗

余りの風景

会場

Cyg art gallery
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)

日時

2025年4月26日(土)─5月25日(日)
11:00-18:00

[水曜日・木曜日 定休]

※営業時間・休業日の最新情報は Cyg art gallery ウェブサイト・SNSにてご確認ください。

作家在廊日

4月26日(土) 終日
4月27日(日) 終日
5月24日(土) 終日
5月25日(日) 終日

※休憩などで不在の場合もございます。

入場料

無料

作家プロフィール

菊池聡太朗|KIKUCHI Sotaro

1993年岩手県生まれ、宮城県仙台市在住。2019年東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻修了。主に荒れ地の風景や、場所との関わりを主題とした絵画やインスタレーションを発表している。主な個展は 「在り処」(Gallery TURNAROUND, 2024)、「Good Landing」(Gallery TURNAROUND, 2022)、若手アーティスト支援プログラムVoyageかんのさゆり・菊池聡太朗展「風景の練習 Practicing Landscape」(塩竈市杉村惇美術館, 2021)、主なグループ展は「ナラティブの修復」(せんだいメディアテーク, 2021)、「VOCA展2023 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」(上野の森美術館, 2023)など。
ほかに、仙台市を拠点に展覧会の空間設計や什器・家具の設計/制作、木材や森林環境についてのリサーチを行うデザインチーム、建築ダウナーズのメンバーとしても活動。

作家公式サイト

参考作品

《枯れた葛(くず)》 2025年/紙にオイルパステル、鉛筆/1090×790mmm
《松林》 2022年/紙にオイルパステル、色鉛筆、インク/1090×790mm
《金網》 2019年/紙にオイルパステル、アクリル、色鉛筆、インク/790×1090mm
《escape》 2021年/紙にオイルパステル、色鉛筆/1090×790mm

感染症への対策対応について
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ギャラリー内における感染予防対策

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